
伊藤羊一さん著の『1分で話せ』の書評です。
大事なことをシンプルに伝え、相手を動かす技術が解説されています。
著者:伊藤羊一
出版社:SBクリエイティブ
発行年:2018年3月20日
ページ数:239
導入部分
エレベーターピッチ(15~30秒程度の短い時間で相手の興味を引くプレゼンテーションを行うこと)を連想するタイトルの書籍、『1分で話せ』の書評です。
右脳と左脳に働きかけ、相手を確実に動かすためのプレゼンテーション技法を紹介している書籍です。
要約と感想ビュー
プレゼンテーションを行う目的
会社でプレゼン資料を作成する際、「上司に言われたから」「取引先への説明機会があるから」など、受け身で資料を作成してしまいがちですが、何のために資料を作成するのかを明確にすることが大切だと説明をしています。相手にこちらの情報を伝えることがプレゼンの目的ではなく、プレゼンをして”相手を動かす”ことがプレゼンの目的である。プレゼンを聞いた後に、相手に何をしてもらいたいのかを明確にすることが資料を作る前の大切な準備となるのです。
ロジカル(左脳)とマインド(右脳)に働きかける
本書ではロジカル(左脳)とマインド(右脳)に働きかけることで、論理的な説得力を持たせるとともに、感情に働きかけることでより相手を動かすことができるようになると主張しています。
ロジカルに働きかける具体的な方法としては、”主張”、”結論”、”根拠”が揃ったピラミッド工構造を作ることを説明しています。この方法は様々な論理的思考などの書籍で紹介されている内容と同じです。
この本の特徴として、右脳、つまりマインドに働きかけることも重要という点が、他のプレゼンテーションHow To本にあまりない要素かと思いました。
具体的には、”相手にイメージに入ってきてもらう”、”写真や絵、グラフを適材適所に使用する”などの手法が説明されています。
相手の席に座る
自分の主張を聞いた相手に動いてもらうには、相手の立場に立って話をすることが大切と説明しています。具体的な方法として、話す相手に憑依して自分を見つめるという方法です。個人的には少々あいまいな説明だと思いましたが、自分がこれから発表するステージや演壇を観客席から見て、自分がプレゼンしている姿をイメージしてみる。そして話している内容が聴衆に響くかをイメージし、必要に応じて修正することでより良いプレゼンに仕上がるというものです。
この方法は具体的なイメージ方法ですが、私は、相手がどんな情報を欲しているのか、どんな立場なのか、というった点を予め情報収集して、相手が期待しているであろう情報を提供することでより説得力があるプレゼンに仕上がるのではないかと考えます。
言いたいことは何か
プレゼン、報告書、報告、なんでもそうですが、最終的に大切なことは、”言いたいことは何か”に尽きるということです。筆者の言葉では「「伝えたい言葉」が、あなたにはありますか。あるなら、それをぶつければいいのです。」とあります。
相手に対して何かを伝える以上、必ずこれだけは伝えたいということがないと、「このプレゼン、結局何が言いたいんだ?」となってしまいます。これが意外とできていないと思います。このプレゼンで言いたいことは何か。1つに絞ってみましょう。